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【一緒に医学】医師って本当に忙しいの?当直って何?~医師の仕事内容~

こんにちは!Dr_Gamingです!

医師が忙しいとはよく言いますが、一般の方は医師がどういう仕事をしているか知らないことがほとんどです。実はこれから医者になろうと勉強している医学生でさえ、実際の医師の働き方を完全には把握していません。

医師の働き方がどんな感じなのか?じゃあ、どうして予約してたのに受診時間が遅れるのか?一緒に考えていきましょう!

 

医師って何しているの?

  1. 医師ってどんな働き方をしているの?
  2. 実際の仕事内容ってどんな感じ?
  3. 「当直」ってなんだろう?
  4. まとめ

 

1. 医師ってどんな働き方をしているの?

皆さん、医師が日々どんな風に働いているかってご存知ですか?

 

「すごく忙しそう」

「高給取りなんだから忙しくて当たり前でしょ」

「夜勤もいっぱいあるんでしょ?」

 

医療職以外の方とお話するとこういったことを何回も言われます。

実際どんな仕事なんでしょう?

 

結論から言ってしまうと忙しい人から忙しくない人まで様々です。

「医師」と一口にいっても「働き方」の種類が非常に多いからです。

大きく分けると

 

・医療施設の従事者:大きな病院(大学病院を含む)で働いている勤務医(約200,000人)

・診療所の従事者:診療所を経営して、診察する開業医(約100,000人)

・介護老人保健施設の従事者:老人ホームなどの中で医師の管理が必要な施設での勤務(約3,300人)

 ・医療施設・介護老人保健施設以外の従事者:産業医や行政機関で働く医師など(約9,000人)

・その他:医師免許を持っていて無職の人も含む(約2,300人)

 

あたりでしょうか?

 

下のグラフは厚生労働省のHPにある医師数の変化です。これは単純に「勤務医」と「開業医」の比較だと思っていただければいいですね。

医育機関付属の病院はおそらく大学病院の勤務医のことを示しているのだと思います。わかりづらいですね。

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徐々に勤務医の割合が増えてきているのがわかります。

 

さらに忙しさについていえばどの診療科に属しているかによって全く変わってきます。

 

よく医師間で言っているのは

マイナー外科(耳鼻科や皮膚科など)は余裕がある、外科や循環器内科は死ぬほど忙しい、小児科や産婦人科は単純に人手不足で忙しい

などですね。

まあこれは100%各々の医師の偏見ですし、どの診療科でも基本的には大変です。

 

というわけで、普通は自分でプライベートと仕事のどちらにどこまで比重を乗せるか考えて仕事内容・量をコントロールしていくわけです。

(ときどき家庭を犠牲にして働いて、俺はよく働いているとふんぞり返ってる残念な人もいます)

 

ここまで聞くと、普通の会社員とあまり変わらないじゃんと思いませんか?

そうです、たぶんそんなに変わりません。

 

2.実際の仕事内容ってどんな感じ?

では何がそんなに忙しいのか?

先ほど述べたように業種・診療科によって業務内容は全く変わってくるので一概には言えませんが、試しに入院できる病院で働く一般的な勤務医の業務内容を追ってみましょう。

 

主な勤務医の業務としては

 

①病棟回診(朝):入院患者さんの状態を全員診て回る

②カルテ記載、指示出し:朝の患者さんの状態を参考に、記録を書き、指示(薬の内容や検査、追加治療など)を出していく

③外来:科によりますが、3~5年目以降の医師は外来に来た患者さんを診察・加療する

処置:腰椎穿刺や内視鏡検査、カテーテル検査など医師しか行えない処置をする

⑤手術:外科系の科のみ。予定された手術を行う

⑥カンファレンス:医師同士、または看護師さんやソーシャルワーカーさんなど病棟運営にかかわる方々と患者さんの状態・今後の方針について相談する。

⑦患者さんと面談:現在の治療状況、今後の方針など患者さん本人や家族と相談する

⑧病棟回診(夕):その日一日で患者さんの状態に変化がないか全員診て回る

⑨カルテ記載、指示出し:夕回診を経て、必要な指示を新たに出す

⑩サマリ記載:入院・退院した患者さんの情報を一通りまとめておく。実は必須業務

⑪当番の日は当直業務:夜病院に残って救急受診してきた患者さんを診察する

⁺α 日中にやってきた救急受診患者さんや病棟内で状態が急変した患者さんの診察・緊急手術:業務の合間に診察・加療・指示出しする

 

もちろんさらに細かい業務を挙げだすとキリがありませんが、大まかには大体こんなものでしょう。

この業務を診療科の中で、分担してこなしていきます。平日日中は比較的業務に追われている感じですね。

 

どうして予約の時間来てもなかなか受診できないのかを業務内容含め考えてもらうと、ちょっと見えてくるものがあるかもしれません。

ほとんどの業務は患者さんの状態次第でかかる時間が大きく変わる内容です。もちろん予約していただいている時間に間に合うよう努力しますが、上記の⁺αの事態が起こったときなんて目も当てられません。

 

ただでさえ余裕がないので、一つずれると取り返すこともできず一日中すべての予定がずれるわけです。

 

患者さんに迷惑のかからない医療者同士のカンファレンスなんて、開始30分後とかに出席する医師はざらにいます。サボっているのではなくて、仕事があったんだとみんな暗黙の了解です。

 

これから病院を受診なさるときに、医療者側から患者さんに持ってもらえると嬉しい心構えとしては予約時間は電車のダイヤと同じという感じでしょうか。

人身事故が起こると簡単に遅延が発生します。そして病院という電車は人身事故が非常に多い。

予約患者さんの受診を1人分運休(キャンセル)にしちゃおーなどできないので、1日中予約はずれ続けていくのです。

 

医療者側も少しでも早く皆さんを診察し治したいと必死です。もし遅れているときは何か人身事故が起こっているんだなと思っていただけると、こんなにありがたいことはありません。

医療者側ももっと皆さんに遅れている理由をアナウンスできるといいのですが、「病棟のどの患者さんがどういう風に急変して遅れます」など伝えられないというのが実情なのです。

 

ところでもう一つ、医師の仕事が忙しいといわれる大きな理由があります。

それが業務の中の⑪当直です。

 

3. 「当直」ってなんだろう?

簡単に言えば、夜勤です。病院に泊まり込みで入院患者さんの急変・救急外来受診患者さんの対応を行います。

 

夜勤なんて、看護師さんやバスの運転手さん、警備員さんだってやりますよね?コンビニアルバイトも朝まで店番したりするはずです。

じゃあ医師の夜勤の何がそんなにつらいのか?

 

それはその前後の業務が休みではないということです。

 

例えば、とある火曜日に当直を割り当てられていた場合。こんなスケジュールになります。

 

(月)8:30~17:00 通常業務

(火)8:30~17:00 通常業務   17:00~ 当直業務

(水)       ~8:30   当直業務   8:30~12:00(?) 通常業務

(木)8:30~17:00 通常業務

 

昨今の働き方改革のおかげで、このスケジュールの場合(水)の12:00まで業務をしたら帰宅していいことになっています。表向きは。

(実際は年数を重ねるほど担当患者の検査・処置や外来患者の予約のため帰れなくなります。私もまだ非常に若年ですけど12:00に帰れたことは数えるほど)

 

つまり最短でも30時間前後、下手するとそれ以上の時間一睡もせずに業務し続けることになるのです。

病院にもよりますが大体この当直が週一回くらい、多いと週2回くらいですか?(例:私は来月は月8回)

昔はこの倍くらい当直があったらしいです。「すごい」より「予定組んでる人頭悪すぎ」としか思えません。

 

当直中、病棟患者からの呼び出しもなく、救急患者もいなければ確かに眠ることができます。

しかし、いつ電話で呼び出されるかわからない、呼ばれたらしっかり目を覚まして応対しないといけないので気を休める暇はありません。

1時間とか半端に寝て起こされるならずっと起きていたいのが正直なところです。こればっかりはひとそれぞれですが。

 

というわけで時々、髪ぼさぼさ、ひげぼーぼー、化粧まったくしてないという医師が外来であなたの診察をしているのです。頭痛を我慢し、意識もうろうとしながら。

そんな医師に治療してもらいたいですか?

 

4. まとめ

さて、少しでも医師の仕事の内容をイメージしていただけたでしょうか?

なかなか文面ではお伝えできていないことのほうが多いです。かくいう私も、働き始めてから医師の仕事ってこんなこともあるんだと知ったものですから。

正直私は当直なんてしたくありません。寿命を削っている感じです。

 

そしてこの業務体系はすぐに変わることはありません。よく言う「医師不足」のせいです。これについてはまたいずれ触れる機会があればいいですね。

 

それでも、今の仕事を続けようと思えるのは患者さんたちの生活・命を支えられているという実感があるからです。

よくある「ありがとうと言ってもらえるから仕事できる」ってほんとなんでしょうか?「ありがとう」と言ってくれる患者さん、最近なかなかいないですけど・・・。逆に、ときどき「ありがとう」を言われるとすごくうれしいです。

 

これから出会ういろいろな患者さんたちの1人でも多く、受診してよかったと思ってもらえるように精進し続けます。

 

それでは次回の記事でお会いしましょう。

 

# 医学 #当直

✳︎個人的見解が非常に多い記事になります。筆者は医師としても未熟者ですので、内容は鵜呑みにせず、不安になったら近くの医院を受診し医師に相談なさってください。